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今回は、アメリカの要人発言の中でも、
最も注目度の高いFRB議長会見に迫ります。
FRB議長の発言は、今後の米金融政策に
大きな影響を与えるだけにマーケットから注目され、
注目されるからこそ外為マーケットに変動を与えます。
FRB議長の発言が特に注目されるのは、
FOMC政策金利発表の後に行われる、
「FRB(連邦準備制度理事会)議長の会見」です。
FOMCは年間に8回の会合であり、
約6週の間隔で開催されますが、
毎週火曜日から2日間に渡り開催されます。
会見の内容次第で、マーケットに大きな変動を与えることになり、
ドルの変動が大きくなるために、要警戒の要人発言となります。
FRB議長は、メディアへのインタビューや政府議会での証言、
IMFなどの国際的な機関で発言を行いますが、
FOMC後の会見の注目度が最も高いと言えます。
FRB議長会見とは
FOMC政策決定会合後に行われるFRB議長の会見のことです。
会合そのものの内容を推測するのに役立ちますが、
議長個人の持論が中心に展開されることになるので、
12人の委員のメンバーの声は反映されません。
現FRB議長はジャネット・イエレン氏とは
1946年生まれの経済学者で、
元サンフランシスコ連邦準備銀行総裁であり、
前FRB議長バーナンキ氏の下で、
FRBの副議長を務めていました。
イエレンはインフレよりも失業に関心があるとの見方が一般的で、
金融政策において金利を安易に上げない、
または金融緩和を安易に停止しない「ハト派」として知られています。
つまり、インフレ容認派(=ドル安、株高)となります。
インフレ容認派とはいえ、
ベン・バーナンキ前FRB議長の時のような、
今は金融危機時ではないために、
彼のような果敢なインフレ派ではなく、
緩やかなインフレを志向しています。
元FRB議長はベン・バーナンキ氏とは
量的緩和政策を果敢に実施しているインフレ派の前FRB議長です。
インフレ派であるだけに、FRB議長会見でも、
インフレに誘導するための会見が多く散見されます。
2006年2月に就任してから
住宅ローン担保証券などを1.75兆ドル買い入れる量的緩和第1弾(QE1)を、
2010年11月から2011年6月には米国債を6000億ドル買い上げる量的緩和第2弾(QE2)を、
2012年9月からは期限や総枠を設けない無制限な量的緩和第3弾(QE3「無制限緩和」)を実施し、
ドル安株高方向に市場を誘導し、
失業率の低下や米景気回復を成し遂げました。
FRB議長会見の動向
下の表では、過去のFRB議長会見において
どのような発表がされてきたのか、
主要ポイントを抜粋し掲載しています。
ジャネット・イエレン会見の注目内容 | |
15/2/25 | ・FOMC、機械的ルールに拘束されるべきでない ・今年、商品現物の新規制を提案へ-FRB ・FOMCは利上げ後も経済への支援を継続 ・米国の家計と企業は健全性を回復 ・インフレは目先、上昇よりも下落する見込み ・強いドルと原油安でインフレ率は低下 ・インフレ率は2-3年で2%へ ・労働市場の改善、賃金上昇につながるだろう |
15/2/24 | ・利上げ前にフォワードガイダンスを変更する ・雇用情勢さらに改善の余地がある ・失業率の段階的低下が可能なほどにGDPは強い ・ガイダンスの変更後は、どの会合でも利上げが可能 ・ただし、ガイダンス部分が修正されたからといって次の2回の会合で利上げすると受け取るべきではない ・原油安の影響、米経済には差し引きで大きなプラス ・『辛抱強い』の意味、次の2会合で利上げの可能性低いこと示す ・新ガイダンスは必ずしも次の2会合での利上げ意味せず ・総合(食品・エネルギー含む)の消費者物価に焦点絞る ・賃金の伸び悩み、労働市場の改善の余地を示唆 ・賃金の伸びは十分に経済回復に追いついていない ・金融政策、通貨の価値に影響を与える可能性はある ・労働市場の傷は完全に癒えていない ・住宅市場は期待ほど順調に回復していない ・雇用の改善を阻害するような行動はしたくない ・原油価格低下でインフレは抑制されている ・FOMCは短期的にはインフレ率が一段と低下すると予想 ・一時的な影響が消えれば、インフレ率は2%を目指す ・賃金の伸び、まだ大幅な加速みえない ・FRBは資産バブルのリスクに目配り必要 ・利上げは景気への信頼がサイン ・中国では経済成長が予想以上に鈍化する可能性がある ・海外経済の動きは米国の経済見通しにとってリスクになり得る |
14/12/19 | ・FRBは政策に関して出来る限り明確にコミュニケートする ・低金利は銀行に利回り追求を促しかねない |
14/11/7 | ・政策正常化は金融市場のボラティリティを招く可能性がある ・政策正常化は健全性回復の兆候になる ・支援政策は引き続き必要。世界経済の回復は遅い ・FRBがインフレ目標をやめることは大きな間違い |
14/10/30 | ・FRBは均等な機会を与えることを非常に重視している |
14/10/18 | ・米国内での格差拡大を非常に懸念している ・格差は過去100年間で最大になっている ・高等教育のコストの高さがアクセスを制限している |
14/8/22 | ・FOMCは労働力の活用が極端に低いと判断 ・目標への進展が緩やかなら利上げが遅れる公算 ・目標への進展が早ければ利上げが早まる公算 ・雇用増加でも労働市場は完全に回復していない ・FOMCの関心は雇用市場のたるみの水準に移行 ・FOMCは2つの責務で目標に近づいた ・FOMCはたるみの度合いを測る段階にある」 ・賃金にはインフレ誘発することなく上昇する余地ある ・低い賃金の伸びは弱い労働市場を示唆 ・研究によると、労働市場はリセッション以降変わった ・退職率(Quits rate)は上昇したものの、依然落ち込んだ状況 ・労働市場の変化の一部は構造的、循環的なもの |
14/7/3 | ・金利は安全確保の主要手段であってはならない ・独立性は金融政策には重要だが、中央銀行の活動のすべての分野に必ず必要というわけではない |
14/6/19 | ・FOMCは量的緩和の緩やかな縮小を決定した ・失業率は高いレベルを維持している ・労働市場には依然として大きなギャップが残存 ・第1四半期の景気の落ち込みは一時的 ・インフレは徐々に2%の目標に向かっていくと予想 ・当面、バランスシートの縮小は予定されないだろう ・われわれは金利引き上げのツールも有している ・出口戦略の修正原則を今年中に発表する予定 ・QE終了から利上げ開始までの期間は決まっていない |
14/5/22 | ・バーナンキ前議長は金融危機の際、勇気を示した ・当局は金融危機の際にいくつか失敗も犯した |
14/5/16 | ・米国は健全な経済の実現でさらなる道のり ・中小企業は景気回復で重要な役割 ・中小企業は景気回復で多大な貢献をしている |
FRB議長会見の価格変動幅
ドル円で見ると、
10pips~100pips程度動くレベルのために
マーケットからは大いに注目される材料です。
議長会見の重要発言の時間が前後することから、
チャートでの変動は載せていません。