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あおのり先生です。
今回は為替レートに多少の変動を与える経済指標である、
“経常収支(欧)”を解説していきます。
“経常収支”は欧州中央銀行(ECB)から毎月16日~21日に発表されます。
経常収支(欧)とは
財・サービスの輸出入の収支のことですが、
4つの合計値から成り立ちます。
1.貿易収支
2.所得収支
3.サービス収支
4.経常移転収支
経常移転収支は発展途上国への援助(ODA)となり、
ユーロが流出することから常に赤字となる上に、
規模も小さいので実態を捉えた経常収支は以下の3つから成ります。
1. (+)
ユーロの輸出額から海外の輸入額を引くと、
現在、貿易収支は黒字となっています。
ユーロ圏内の輸入が内需の冷え込みで低下している反面、
ドイツを主軸にした輸出の増加が、
貿易黒字に寄与しています。
2.所得収支 (+)
グローバル経済の中で欧州企業は積極的に海外展開しており、
欧州系企業の海外送金が増えています。
所得収支は安定的に黒字化しており、
所得収支も経常収支のプラスに寄与しています。
3.サービス収支 (-)
世界遺産が429件登録されており、
世界有数の観光旅行地である欧州は、外国人を誘致しているものの、
サービス収支は安定的に保っています。
海外への旅行者よりも、
欧州への海外旅行者が多いためです。
経常収支の+は将来的なユーロ高円安要因となります。
製品を輸出した欧州企業は、外貨を手にすれば、
そのお金を欧州に持ち帰って従業員に給料として支払ったり、
欧州で借りたお金を返すために使います。
そのため、手にした外貨をユーロに替える必要が生じ、
為替市場はユーロ高の方向に動くことになります。
経常収支(欧)の動向
下のグラフは経常収支の2008年1月~2014年10月までの推移を表しています。
2000年代初頭から金融危機までの間、
ユーロ圏の経常収支はゼロをはさんで
上下0.5%の範囲となる傾向に過ぎませんでした。
2012年以降のユーロ圏全体の経常黒字は
今や統一通貨導入以降で最高水準にあります。
この理由として、ユーロ圏各国は内需が減った分を、
輸出を増やすことで経常黒字化を達成しています。
このような未曽有の大幅な経常黒字が、
景気悪化であるにもかかわらず、
ユーロ高となっている要因となっています。
経常収支の価格変動率
市場に与えるインパクトは限定的で、
一時的な影響を及ぼすレベルでしかありません。
ユーロ円で見ると、
0pips~10pips程度動く程度のために
多少の警戒感を持っておく程度の指標です。
下記では、経常収支発表時の為替レートの変動幅を表しています。
10月経常収支発表前後のユーロ円1分チャート (期間:2014年12月19日 17時20分~18時40分) |
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価格変動幅 | 12銭 |
12月19日の注目イベント | 注目度 | 前回発表値 | 市場予想 | 市場結果 | |||
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18:00 | (ユーロ圏)10月経常収支 (季調前) |
○ | +329億EUR | — | +306億EUR |
8月経常収支発表前後のユーロ円1分チャート (期間:2014年10月20日 16時21分~17時41分) |
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価格変動幅 | 7銭 |
10月20日の注目イベント | 注目度 | 前回発表値 | 市場予想 | 市場結果 | |||
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17:00 | (ユーロ圏)8月経常収支 (季調前) |
○ | +328億EUR | — | +151億EUR |
5月経常収支発表前後のユーロ円1分チャート (期間:2014年7月18日 16時34分~17時34分) |
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価格変動幅 | 8銭 |
7月18日の注目イベント | 注目度 | 前回発表値 | 市場予想 | 市場結果 | |||
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17:00 | (ユーロ圏)5月経常収支 (季調済) |
○ | +215億EUR | — | +195億EUR |
4月経常収支発表前後のユーロ円1分チャート (期間:2014年6月20日 16時16分~17時36分) |
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価格変動幅 | 7銭 |
6月20日の注目イベント | 注目度 | 前回発表値 | 市場予想 | 市場結果 | |||
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17:00 | (ユーロ圏)4月経常収支 (季調済) |
○ | +196億EUR | — | +215億EUR |