チャート分析

ストキャスティクスの正しい使い方(あおのり学校流)

こんにちは、あおのり先生です。

 

テクニカル指標は

トレンド系とオシレーター系の2種類ありますが、

オシレーター系テクニカル指標の知識を

今回は深めてもらおうと思います。

 

価格が行き過ぎた水準を捉える

オシレーター系テクニカル指標の代表格として、

まず頭に思い浮かぶのはRSIではないでしょうか?

 

オシレーターとは「振り子」という意味で、

0~100の範囲を振り子のように推移することで、

買われ過ぎの水準や売られ過ぎの水準を教えてくれる

テクニカル指標となります。

 

私もRSIはチャート上に標準搭載しており、

チャート分析に役立てています。

 

RSIを使えば、

価格がどこまで上昇すれば「割高感」が出て、

価格がどこまで下落すれば「割安感」が出た

という判断を持つことができるため、

割高感が出たところで売りで入ることができ、

割安感が出たところで買いで入ることができます。

 

オシレーター系テクニカルはRSIが一番利用者が多いのですが、

その次に利用者が多いメジャーなオシレーター系テクニカルとして、

ストキャスティクスを挙げることができます。

 

RSIとストキャスティクスの使い方は大体一緒ですが、

ストキャスティクスでしか把握できない

見方や使い方があります。

 

今回は、その違いについて明らかにしていきますが、

この違いを知ることでさらに利益を出すチャンスを

手に入れることができるようになるでしょう。

 

 

ストキャスティクスとは

 

直近の価格の終値が、

一定期間内の最高値と最安値の中で、

買われ過ぎ」「売られ過ぎ」を表す

オシレーター系テクニカル指標です。

 

直近価格の終値を重視していることが、

RSIとの大きな違いとなります。

 

0~100の数値で表示され、

30以下は「売られ過ぎ」を表し、

70以上は「買われ過ぎ」を教えてくれるものですが、

ストキャスティクスは振幅が激しいので、

頻繁に30割れや70超えという現象が起こります。

 

そこで、私がストキャスティクスを利用する際は、

20以下は「売られ過ぎ」を表し、

80以上は「買われ過ぎ」という基準で

ストキャスティクスを見ていますし、

今回の記事でもこの数値を利用して

ストキャスティクスの説明をしています。

 

下のグラフは5日間の期間に設定したストキャスティクスです。

ストキャスティクス 20 80

 

80を超えていれば買われ過ぎ圏となり「売りサイン

20を下回っていれば売られ過ぎ圏となり「買いサイン」となります。

 

そして、ストキャスティクスは2本(か3本)のラインで表されます。

MT4の場合だと、

「%Kライン」と「スロー%Dライン」の2本が表示されています。

 

一般的なFX業者のチャートは、

「%Kライン」と「%Dライン」、「スロー%Dライン」の

3本のラインが表示されています。

 

下の図は、MT4でストキャスティクスを

表したものとなります。

ストキャスティクス %K スロー%D

 

①%Kライン 一番動きが早い ラインの重要度は最も低い

%Kラインとは、「実線」で表されたものとなり、

速度が最も早いという特徴があります。

直近終値が、5日間の最高値と最安値の中で、

どの位置にあるかを示すものとなります。

 

②%Dライン 動きが遅い ラインの重要度は低い

%Dラインは、「破線」で表され、

速度が%Kよりも遅くなるために、

価格転換サインとしての機能があり、

%Kラインよりもより重要となります。

%Kラインの移動平均線として計算したものであるため、

%Dラインよりも速度が遅くなります。

 

③スロー%Dライン 動きが最も遅い ラインの重要度は最も高い

スロー%Dラインは、「破線」で表され、

速度が%Dよりもさらに遅くなるために、

価格転換サインとしての機能がありますが、

その分%Dよりも売買サインが遅れてしまう特徴があります。

%Dラインの移動平均線として計算したものであるため、

%Dラインよりも速度がさらに遅くなります。

 

ラインが3本あるために「少し分かりにくい・・」と

考えてしまうテクニカル指標ですが、

見方・使い方を覚えれば難しくないので、

この機会にしっかりマスターしていきましょう!

 

ストキャスティクスの正しい使い方を動画紹介

 

ストキャスティクスの正しい使い方を

実際のチャートを利用しながらわずか8分で学べます。

 

 

ストキャスティクスの正しい使い方①

 

ストキャスティクスを使って利益を上げるためには、

その時々のマーケット環境を理解する必要があります。

 

マーケット環境は大まかに言うと、

方向感がないトレンドレスな時、

緩やかなトレンドが出ている時、

強いトレンドが出ている時の全部で3パターンがあります。

 

マーケット環境を理解しないで、

ストキャスティクスの%K(か%D)が80を超えたから売りだ

ストキャスティクスの%K(か%D)が20を割ったから買いだ」と

判断しても利益を上げることはできません。

 

ストキャスティクスで利益を上げることができる環境は、

下の図チャートのようにマーケットの方向感が乏しい時か、

あるいは緩やかなトレンドの時となります。

ストキャスティクス 使い方①

 

このチャートは当初こそ方向感に乏しいレンジが続き、

その後上げ下げを経て、

再びレンジで推移していることがわかります。

 

レンジの時にストキャスティクスが20を割り込むと価格が反発し、

80を超えれる価格が下落していることがわかります。

 

このように価格の方向感が乏しい時に使うことが、

RSIの正しい使い方、

すなわち利益を上げる使い方となります。

 

ただし、レンジの時でも、

価格がより行き過ぎた場合には80を何度も超えたり、

20を何度も割ったりすることになるために、

早くエントリーすることになり、

損切りにあうこともあるので要注意となります。

 

ストキャスティクスの正しい使い方②

 

ストキャスティクス①の使い方よりも、

より精度を高めた有力な売買サインを点灯させる方法もあります。

 

ストキャスティクスの正しい使い方①では、

%K(か%D)が80を超えたら売りサイン

%K(か%D)が20を下回ったら買いサイン

となりますが、

 

より保守的に

%K(か%D)が90を超えたら売りサイン

%K(か%D)が10を割ったら買いサイン

とするのが使い方②の戦法となります。

 

90を超えることや10を割ることの回数は減るために、

チャンスはより少なくなりますが、

最も有力な売買サインを表してくれることになります。

 

下図のチャートはストキャスティクスの使い方②となりますが、

①の使い方よりも売買サインの点灯回数が

圧倒的に少なくなっていることがわかります。

ストキャスティクス 使い方 90 10

 

ただし、ストキャスティクス②は価格の振幅が大きい場合、

特に有効となりやすいのですが、

価格の振幅が小さい場合には①の手法を利用した方が、

チャンスを拾いやすくなります。

 

チャンスを拾いにくくなりますが、

より確実性を求めるという方は、

使い方②を利用していくと良いでしょう。

 

ストキャスティクスの正しい使い方③

 

ストキャスティクスを利用する場合の最もオーソドックスな手法が、

今回の使い方③となります。

 

その手法は、以下のように移動平均線が、

ゴールデンクロス(短期線(25)が中期線(75)を上抜ける)したり、

デッドクロス(短期線(25)が中期線(75)を下抜ける)するタイミングを

捉えることと同じ売買手法となります。

 

%Kの移動平均線としての役割がある%Dや

%Dの移動平均線としての役割があるスロー%Dを

移動平均線と同じものと考えると

ストキャスティクスも理解しやすくなると思います。

 

%D(かスロー%D)が80超えの水準にある%Kを下抜ければ売りサイン

%D(かスロー%D)が20割れの水準にある%Kを上抜ければ買いサイン

 

そして、この手法を採用した場合、

以下のチャートのように%Dが

行き過ぎた水準にある%Kをクロスした個所で、

売買していくことになります。

ストキャスティクス %K %D クロス

 

%D(かスロー%D)が%Kをクロスするのを待つために、

使い方①よりも売買の主導タイミングが遅れることになりますが、

使い方①よりもより確実性の高い売買をすることができます。

 

ストキャスティクス利用者のほとんどが、

この③の手法を重視して売買しているので、

一番オーソドックスな手法と言えます。

 

ストキャスティクスとRSIの違い

 

ストキャスティクスの%Kラインは、

期間5の設定が一般的であるために、

期間14の設定がメインとなるRSIと比べると、

振幅が激しくなるという特徴があります。

 

下のチャートでは、

RSIとストキャスティクスを比較していることがわかりますが、

RSIの振幅は緩やかであるのに対して、

ストキャスティクスの振幅は激しいことがわかります。

RSIとストキャスティクスの違い

 

そのため、ストキャスティクスは小刻みに価格が動くレンジでは、

非常に有効に機能するというメリットがありますが、

大きな幅のレンジでは「騙し」が頻発することで、

損切りが相次ぐというデメリットが生じます。

 

一方のRSIは、

小刻みに動くレンジでは売買サインが点灯せず、

利益を上げるチャンスを逃すことになりますが、

大きな幅のレンジでは騙しを防ぎ、

良いポイントで利益を上げることができます。

 

ストキャスティクスの注意点

 

マーケット環境がレンジであったり、緩やかなトレンドである時は

面白いように利益を上げることができるストキャスティクスですが、

一度強いトレンドが生じてしまうと、

全く機能しなくなります。

 

強いトレンドとは下のチャートのように、

ある一定期間に渡り、強い角度で上昇するような時です。

ストキャスティクス 注意点

 

この図では、ストキャスティクスが80を超えているので、

売りだと思って入ったものの、

一定期間80に張り付いたままで推移し、

その後大した押しもない状態で上昇してしまっています。

 

そのため、

ストキャスティクスを売買の根拠とする場合は、

その時の相場環境を良く理解して

利用していかないと大損を出してしまいます。

 

レンジ相場ややや緩やかなトレンドの時に利用し、

強いトレンドが出ている時には、

絶対に利用しないようにしていきましょう。

 

ストキャスティクスとトレンドラインの併用

 

トレンド相場とは言え、

ストキャスティクスを全く利用してはいけないわけではなく、

トレンドラインと併用する場合に限り、

ストキャスティクスを利用することもできます。

 

トレンド相場の行き過ぎたポイントを

ストキャスティクスから補助的に察知しつつも、

トレンドラインまでの戻りを第一根拠にして、

エントリーしていくという手法となります。

 

トレンドラインが売りサインを出していて、

ストキャスティクスも売りサインを出しているので、

両方の判断より「売りだ」という自信を持ちやすくなる

というメリットがあります。

 

ストキャスティクスだけだとエントリーに自信が持てず、

そこでのエントリー機会を逃してしまうことになりかねませんが、

この合わせ技を利用することで、

躊躇せずチャンスをモノにしやすくなるということです。

 

チャート分析をする場合は、

このように一つの根拠だけよりも二つ以上根拠があった方が、

その分売買精度も上がるし、

売買の自信も深めることができます。

 

下のチャートでは、

下降トレンドが表れている中で、

下降トレンドラインを引いていることがわかりますが、

トレンド系テクニカルが売りサインを出している中で、

よくよくチャートを見るとストキャスティクスも、

%Kが90を超えており過熱感が出ていることがわかります。

ストキャスティクス トレンドライン

 

第二の売買根拠であるストキャスティクスも、

90を超えており強い割高感が出ているし、

下降トレンドラインまで戻してきていることから、

ここで売りで勝負してみようと考えることができます。

 

では、その結果がどうなったのか、

次の展開をチャートで確認していくと、

ストキャスティクス トレンドライン

 

思惑通り価格が下落していることを確認できます。

 

その後、ストキャスティクスが再び80を超えていますが、

ここでは売りエントリーはせずに、

様子見することになります。

 

再びトレンドライン付近まで価格が戻し、

そしてストキャスティクスが80を超えた時に、

ショートエントリーを入れていくことになります。

 

ストキャスティクスの正しい使い方応用編

 

RSIと同様にストキャスティクスにも、

ダイバージェンス」と呼びれる現象が起こります。

 

ダイバージェンスとは、

価格とストキャスティクスの方向性が逆になる状態を言い、

価格の高値と高値が切り上がっている中で、

ストキャスティクスの高値と高値は切り下がったり、

価格の安値と安値が切り下がっている時に、

ストキャスティクスの高値と高値が切り下がる現象を言います。

 

ちょうど下のチャートのような状態が

「ダイバージェンスが現れた!」と見ることができる時です。

ストキャスティクス ダイバージェンス

 

このように価格が下落(上昇)しているにもかかわらず、

ストキャスティクスが上昇(下落)している時は、

価格反転のサインと見ることができます。

 

ダイバージェンスが有効になる時は、

ストキャスティクスが20を割れたり、80を超えたように、

割安感や割高感が現れた場合のみとなります。

 

これらの水準まで到達しない場合は、

価格反転のサインと捉えることができないことには

注意が必要です。

 

ダイバージェンスを使ったエントリーポイント

 

ダイバージェンスは価格反転のサインとなりますが、

そのサインがわかったところで、

どこがエントリーポイントになるかを

掴むことができません。

 

私はストキャスティクスにレジスタンスラインサポートライン)を引くことで、

エントリーポイントにするという方法を取っています。

 

具体的に、

価格が上昇トレンドのような場合は、

ストキャスティクスが高値と高値を切り下げ、

そして安値と安値を切り下げた、

下降トレンドが確定したポイントを

エントリーポイントとしています。

 

下のチャートは、

価格が高値と高値を切り上げている中で

ストキャスティクスが高値と高値を切り上げ

ダイバージェンスのパターンが現われていることがわかります。

ストキャスティクス ダイバージェンス 使い方

 

その上でストキャスティクスが安値を更新し

下降トレンドが完成したところでエントリーポイントと

することができます。

 

ストキャスティクスが前回安値を抜けてから、

価格はその後下降トレンドへと切り替わっていることがわかります。

 

この場合は、相場の転換シグナルとなる、

ストキャスティクスのスロー%Dの

サポートライン(レジスタンスライン)を抜けたところを

売買の根拠とします。

 

ストキャスティクスの計算方法

 

ストキャスティクスの計測期間は%Kは

5日間が一般的です。

そのため、5日間の%Kという前提の下に

計算方法を見ていきたいと思います。

 

ストキャスティクス 計算方法

 

ストキャスティクスの%Kは、

まず直近の終値から過去5日間の最安値を引いた価格から、

過去5日間の最高値から最安値を引いた数字を

割ったものとなります。

 

直近の終値が過去5日間の価格幅から見て、

どの位置にあるのかを表すことになります。

 

%Dは%Kの3日間の合計値となり、

%Dの移動平均線として機能することになります。

 

スロー%Dは、%Dの3日間の合計となり、

%Dの移動平均線として機能することになります。

 

ストキャスティクスの期間設定

 

ストキャスティクス%Kの期間設定は一般的には、

5日間の設定を行いますが、

中には9日、14日で設定する場合もあります。

%Dやスロー%Dは、3日間に統一される場合がほとんどです。

 

%K・・・5日、9日、14日

%D、スロー%D・・・3日

 

ストキャスティクスのパラメータ設定

 

ストキャスティクスは20、80で表示するのが一般的ですが、

30、70のレベルに設定することもできます。

 

下のチャートでは、20、80と30、70に設定していますが、

20、80では点灯していないサインを、

30、70では表示しています。

 

小刻みに動くレンジを捉えるためには、

30、70のレベルに表示した方が、

価格反転をより多く捉えることができていることがわかります。

ストキャスティクス パラメータ設定