FXを含む投資の世界には、
楽をしてお金を増やしたい人たちを引き付けます。
そして、そのような需要が眠っているのだから、
年率300%を達成できることが謳い文句のトレーダーがいたかと思えば、
また誰でも楽に勝てるというファンドが溢れています。
事実であれば、
1000万円の資金が翌年には3000万円になるのだから、
人は夢希望に満ちた人生を歩むことを、
思わず夢想してしまいます。
仮に、
年率300%を翌年も達成できるのであれば、
3000万円が9000万円となり、
さらに翌年には27000万円にもあります。
多くの人は、
その広告に半信半疑の気持ちを抱く一方で、
もし仮にそれが事実であった場合のことも考え、
夢を膨らませ、手を出したい感情に駆られます。
人間とは楽な方に楽な方に流される生き物だからです。
FXは、楽をしてお金を増やしていけるものなのか?
FXの世界には、嘘情報で溢れかえっています。
なぜなら、物を扱っているわけではなく、
むしろ目に見えないものを扱っているから、
どれほどの利益を上げているのかの証拠がありません。
また、仮に証拠があったとしても、
その証拠を捏造したり、
ある一定期間だけの都合のよい成績だけを載せている場合が良くあります。
実際に、物を扱っているのであれば、
例えばそれが車であった場合、
傷があるか否かをチェックしたり、
走行距離や車種を調べることによって、
その車の大まかな価値をお金に置き換えることができます。
一方、投資の場合は物を扱っているわけではないために、
それが本物であるのかどうかがわかりません。
私は、年率300%を謳うある投資運用会社の営業マン、
そして運用担当者と実際に会ったことがあります。
彼らは、年率300%を達成する証拠として、
スキャルピング(超短期売買)の裁量トレードの結果を見せ、
『大体年率300%のリターンを出しているよ』と書類を見せてきました。
また、PCモニターが6台あるトレードルームも見せてくれ、
利益を上げることが可能であることを主張してきました。
PC画面が6台あり、
そしてその部屋にはトレーダーが数名配置されている環境を見せられれば、
本物の可能性が高いと錯覚させられます。
この投資商品は、100万円を投資した場合、毎月配当されます。
5%の配当をすることを約束した商品です。
仮に、100万円分を買えば、翌月には105万円となり、
1年後には160万円にもなります。
もちろん、当初の配当金支払いは、撒き餌です。
鴨が増額したり、鴨が鴨を呼んでくるための仕掛けに過ぎません。
こうして噂が噂を呼び、投資資金が短期間に集まったことで、
この投資ファンドには最終的に50億円の資金が集まりました。
その後、この商品は資金を計画的に吹き飛ばし、
1円もバックされなかったと聞きます。
表面を取り繕うことでお金を集めることが可能なのが、
投資の世界なのです。
だから、偽りの案件が絶えません。
それでは、システムトレードでお金を増やしているという広告の場合はどうでしょうか。
シストレで、年率200%を達成できる謳い文句のシステムがあれば、
その成績の良好さに思わず買いたいと考える人もいるかも知れません。
システムトレードというのは、あるロジックを組んで、
そのロジックに従い自動売買させる仕組みを組み入れたものです。
ある一定期間、そのロジックが有効に機能していたとしても、
その期間が過ぎれば途端に勝てなくなるのがシストレの特徴です。
そして、あるロジックで勝ちやすかったある一定期間を抽出し、
その期間だけ利益を出せていたという証拠を提示することで、
多くの人たちに派手に見せるものです。
しかし、その期間以外の計測期間では、
高い勝率を出すことができなくなるので、
計測期間を限定して、提供されています。
一つのロジックのみで、永久に勝てる方法はありません。
マーケットの変化に合わせて、
ロジックも臨機応変に変えていくことでトレードは利益を上げていくものです。
数百億円の運用を担当していたある外銀出身のシステムトレーダーは、
自分のロジックを定期的に見直し、
そして相場の流れに合うように変えたロジックを採用することで、
利益を上げ続けていました。
つまり、永久に変える不朽の売買ルールというものはなく、
また一つのロジックのみのシストレで勝てるものでもないのです。
トレーダーや投資家として利益を上げていくためには、
表層、上辺だけを見るのではなく、
その奥にある真実、本物、本質を見極めることが
大前提となります。
表面に踊らされる浅はかな人では、
そもそもの前提が誤っているから、勝てるはずがないのです。