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今回は、外為マーケットにも影響を与える、
WTI原油先物について解説していきます。
WTI原油先物は豪ドルやカナダドルなどの資源保有国通貨と
連動して動く傾向があるために、
資源国通貨の取引をする際には注目すべき指標となります。
WTI原油先物(NY原油先物)とは
WTI原油先物は、ウェスト・テキサス・インターミディエイトの略称で、
テキサス州とニューメキシコ州を中心に産出される原油となります。
原油先物の取引には、イギリスの“ブレンド原油先物”や
“ドバイ油田・オマーン原油”がありますが、
これらが原油先物取引の三大指標です。
取引量が最も多いのがWTI原油先物なので、
注目度が一番高いのです。
WTI原油先物は
ニューヨーク・マーカンタイル取引所で取引されている、
原油価格の代表的な指標で「NY原油先物」と呼ばれることもあります。
ニューヨーク・マーカンタイル取引所はアメリカの商品先物取引所です。
原油取引の単位は、1バレルで表されます。
1バレルは、159リットルに相当する量です。
中東地域で紛争リスクが高まると、原油の安定供給が滞る懸念から、
原油価格は跳ね上がりやすいという特徴があります。
WTI原油先物の動向
下のチャートは、
WTI原油先物の2004年1月~2013年12月までを表したチャートとなります。
2004年には、1バレル=32ドルで推移していたものの、
その後は毎年上昇し続け、
2008年には歴史的高値の147ドルをつけました。
この背景には、中国やインドなどの新興国の需要の大幅拡大や、
日米欧の成長期とも重なり、需要の高まりを反映して上昇しました。
さらには、上昇の勢いにつられて投機的資金までもが
WTI原油先物市場に入り込んだことが挙げられます。
買いが買いを呼んだ後は、リーマンショックで大暴落。
一時20ドル後半まで下落するものの、その後は上昇波動を描き、
2011年~2013年までは100ドル前後で推移する展開が続いています。
WTI原油先物と為替の関係
WTI原油先物の上昇は
リスクの高い通貨(豪ドルや南アフリカランドなど)の上昇という動きに繋がります。
すなわち、
世界経済が好調 ⇒ WTI原油先物上昇 ⇒ リスク選好度上昇
⇒ リスクの高い通貨(特に資源国通貨)ほど買われやすくなる
という相関関係が成り立ちます。
下のチャート群はWTI原油先物と各通貨の動きを比較したものです。
まず、WTI原油先物とドル円の相関関係を、
GMOクリック証券が提供する比較チャートを利用して比較していきます。
下のチャートは、2013年8月3日から12月3日までの値動きを
ひとつの画面で同時に表しています。
9月までは、ドル円とWTI原油先物の値動きは連動していました。
しかし、10月からはその動きが大幅に開いており、
ドルが上がればWTI原油先物が下落しているという
逆相関関係の値動きをしていることがわかります。
一方、WTI原油先物と相関関係が高い豪ドル円はどうでしょうか?
豪ドル円は、ドルの影響を半分受けてしまうクロス円通貨のために、
ドル円とほぼ同じ動きをしていることがわかります。
それならば、
クロス円ではなく豪ドルドルで動きを見ることで、
豪ドルとの連動度合いがあるのかを見比べて見ましょう。
豪ドルドルとWTI原油先物の関係を見ると、
10月序盤に一時的に逆相関関係の動きを見て取れますが、
その後は連動し下落している動きを示しています。
今の相場地合いでは、豪ドルなどの資源国通貨と比べても、
連動性はそこまで強くないかもしれませんが、
WTI原油先物と資源国通貨はかなり相関関係が高いので、
資源国通貨の取引をされる方は、チェックしておく必要があります。