あおのり学校へようこそ。
あおのり先生です。
今回は世界で最も流通しており、
世界で最も信用されている通貨である
基軸通貨であるドルについて解説していきます。
私たちが、豪ドル円を買う場合を考えてほしいのですが、
円と豪ドルは直接交換することは実はできません。
必ず、基軸通貨であるドルを絡ませて買う必要があるからです。
つまり、
豪ドル円を買う場合は円をまずドルと交換し、
その上で交換したドルと豪ドルの交換をして、
豪ドルを買うというステップを踏んでいるのです。
そのため、あらゆる通貨はドルの影響を受けることになります。
クロス円を見ればわかるように、ドルの影響を半分受けています。
では、このドルはどのような理由で変動するのでしょうか?
そこには、“政治”と“経済”と“金融政策”が密接に関係しています。
ドルを変動させるアメリカ政治
アメリカ政府は雇用の安定を目的としています。
ドルが上昇しすぎれば、アメリカ企業の国際競争力が低下して、
世界的にモノが売りにくくなるために、
失業者が増えることになります。
そういったことを防ぐために、
時としてアメリカ政府は為替市場に介入してくる場合があります。
特に、財務長官の発言には注目ですが、
現在のアメリカの財務長官はジャイコブ・ルーです。
![ジェイコブ・ルー財務長官](https://aonorifx.com/blog/wp-content/uploads/2014/01/WS000023.jpg)
彼には、為替介入をする決定権があります。
政府がドルを売ったり買ったりするために、
為替介入のマーケットに与える影響はとても大きなものになります。
また、為替に対する見通しを示すことで、
ドルの変動要因を作ります。
そのため、財務長官の発言には注意が必要となるのです。
ドルを変動させる米経済指標
アメリカの経済状況を知るには、
アメリカの経済指標の動向をチェックする必要があります。
経済指標は、7つのカテゴリーに分けることができます。
GDP、景気、個人消費、住宅、雇用、物価、貿易・国際収支関連です。
これらを見ることで、アメリカの経済状況がどのように推移しているのかの
現状を把握することができます。
そして、マーケットのコンセンサス予想と結果がどのようになるかで、
以下の経済指標でドルの価格変動が起こることになります。
米経済指標一覧 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|
カテゴリー | 経済指標 | 重要度 | 発表日 | |||
GDP関連 | GDP | ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
21~30日 | |||
景気関連 | 鉱工業生産指数 | ![]() ![]() ![]() ![]() |
14~17日 | |||
耐久財受注 | ![]() ![]() ![]() |
25日前後 | ||||
ISM製造業景気指数 | ![]() ![]() ![]() ![]() |
第1営業日 | ||||
フィラデルフィア連銀製造業景気指数 | ![]() ![]() ![]() |
毎月第3木曜日 | ||||
ニューヨーク連銀製造業景気指数 | ![]() ![]() ![]() |
15日前後 | ||||
リッチモンド連銀製造業景気指数 | ![]() |
月末 | ||||
シカゴ購買部協会景気指数 | ![]() ![]() |
月末 | ||||
ISM非製造業景気指数 | ![]() ![]() ![]() ![]() |
第3営業日 | ||||
景気先行指数 | ![]() |
20日前後 | ||||
個人消費関連 | 小売売上高 | ![]() ![]() ![]() ![]() |
第2週 | |||
個人所得 | ![]() |
月末 | ||||
個人消費支出 | ![]() |
月末 | ||||
消費者信頼感指数 | ![]() ![]() |
25日~月末 | ||||
ミシガン大学消費者信頼感指数 | ![]() ![]() ![]() |
10日前後の金曜日 | ||||
住宅関連 | 住宅着工件数 | ![]() ![]() ![]() ![]() |
第3週 | |||
住宅建設許可件数 | ![]() ![]() |
第3週 | ||||
新築住宅販売件数 | ![]() ![]() ![]() |
24日から月末 | ||||
中古住宅販売件数 | ![]() ![]() ![]() |
毎月25日 | ||||
中古住宅販売保留 | ![]() ![]() |
月初 | ||||
S&Pケース・シラー住宅価格指数 | ![]() ![]() ![]() |
最終週火曜日 | ||||
FHFA住宅価格指数 | ![]() ![]() |
第4火曜日 | ||||
NAHB住宅市場指数 | ![]() |
中旬 | ||||
雇用関連 | 失業率 | ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
第1金曜日 | |||
非農業部門雇用者数 | ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
第1金曜日 | ||||
ADP全国雇用者数 | ![]() ![]() ![]() ![]() |
第1水曜日 | ||||
新規失業保険申請件数 | ![]() ![]() ![]() ![]() |
毎週木曜日 | ||||
単位労働費用 | ![]() |
5日前後 | ||||
労働生産性指数 | ![]() |
5日前後 | ||||
物価関連 | 生産者物価指数 | ![]() ![]() ![]() |
15日前後 | |||
消費者物価指数 | ![]() ![]() ![]() |
15日前後 | ||||
PCEデフレーター | ![]() |
月末 | ||||
貿易・国際収支関連 | 貿易収支 | ![]() ![]() ![]() |
毎月末 | |||
対米証券投資 | ![]() ![]() |
中旬 | ||||
経常収支 | ![]() ![]() |
四半期毎の中旬 |
この経済指標の中でも、アメリカの経済力が顕著にわかるのがGDPです。
下の図は、アメリカと世界各国の名目GDPを比較した図です。
![](https://aonorifx.com/blog/keizai/etc/gdp.jpg)
見ればわかるとおり、アメリカのGDPは2013年ベースでは1670兆円です。
この金額は、GDP二位の中国の800兆円の約2倍、
600兆円の日本の約3倍です。
圧倒的な経済力を誇っているのが、今のアメリカの現状です。
だからこそ、アメリカは基軸通貨としての信用があるのです。
ただ、懸念点もあります。
それは、アメリカの借金が増えてきているという問題です。
下の図は、2013年度のGDPと政府の総借金を比較した図となります。
アメリカが1年間に生み出した富の合計であるGDP1670兆円と、
アメリカの借金はほぼ同水準にあるくらい、
アメリカの債務は膨れ上がっています。
リーマンショック前の2007年は70%であった対GDP比債務残高は、
現状では105%です。
明らかにアメリカの借金は急速に増えている状況です。
日本はアメリカ以上に負債残高が膨れ上がっております。
GDPに占める債務残高は世界で一番大きいという
不名誉な称号を得ています。
一方、
中国やオーストラリアのGDPに占める債務残高は小さく、
GDPに占める債務残高は20~30%程度となっております。
ドルに影響を与えるFRBの金融政策
経済指標のほかに注目したいのが、
アメリカの中央銀行(FRB)による金融政策です。
![t02200165_0800060010195432576](https://aonorifx.com/blog/wp-content/uploads/2014/01/t02200165_0800060010195432576.jpg)
金融政策はFOMC(連邦公開市場委員会)で発表されることになりますが、
アメリカは政策金利を引き下げ続けているという状況にあります。
下の図は、日米欧英豪の政策金利を2006年~2013年12末まで比較した図です。
![各国政策金利比較](https://aonorifx.com/blog/wp-content/uploads/2014/01/WS000016.jpg)
アメリカの政策金利は、2006年には5.25%まで上がっていました。
それがリーマンショックをきっかけとして景気が悪化したことから、
今では0~0.1%まで政策金利を引き下げている状況にあります。
この金利が再び上昇するまでは、
アメリカのドルの大幅な上昇は起こりがたいといえるでしょう。
このFOMCは年間に8回予定されていますが、
FRBがどのような金融スタンスを取ってくるのかで、
マーケットの雰囲気も変わるために注目する必要があります。
また、FRBが取りまとめるアメリカの地域経済に関する動向がわかる、
ベージュブックも抑えておく必要があります。
FOMCが開催される2週間前の水曜日に発表されます。
以上の3つが、アメリカのドルの動向を予想する上で、
注目すべき材料となります。
なお、
金融・財政を表す指標には以下のようなものがあります。
米金融・財政指標一覧 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|
カテゴリー | 経済指標 | 重要度 | 発表日 | |||
金融関連 | FOMC政策金利 | ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
年8回6週間隔 | |||
財政関連 | 財政収支 | ![]() |
毎月10日前後 |
ドル円の長期価格動向
下のチャートは、ドル円の月足チャートです。
1978年~2013年までの35年間のドル円の値動きを表しています。
![ドル円 月足チャート](https://aonorifx.com/blog/wp-content/uploads/2014/01/WS002966-1024x432.jpg)
この期間の最高値は1982年につけた276円、
最安値は2011年につけた75円です。
つまり、ドル円の価値は約35年の間に3分の1以下にまで下落しているのです。
2013年末には、75円最安値から105円前後まで上昇していますが、
長期波動から見ると下降トレンドが継続していることがわかります。
従って、ある程度上昇すれば再び
ドル円の上値が重くなる展開になることには留意が必要になりそうですね。