政府や日銀は、円を安くする万策尽きた
円高の進行が止まりません。
そのため、メディアなどを見ても政府や日銀の対応に非難轟々です。
でも実は、政府や日銀にできることはもうほとんど残されていないように感じます。
日本では、バブルが崩壊してからというもの、物価が低下し続けています。
つまり、デフレという現象が起こっています。
日本政府は、90年代からこのデフレを克服するということを至上命題としてきました。
その結果、日本の政策金利は0.1%まで下落し、先進国中最低の金利水準まで
引き下げました。
金利を引き下げることで、円に対しての相対的な需要が低下するからです。
通常なら、金利が低い国よりも、金利が高い国に資金を置こうとします。
事実、2008年6月のサブプライムショックまでは、日本の低金利政策は功を奏し、
円が売られる局面が続きました。
しかし、アメリカやユーロ圏は政策金利が高いため、金利が下がれば為替も下がる余地が
まだ残されています。
アメリカの政策金利は0.25%、ヨーロッパの政策金利は1%なのに対して、日本は
0.1%です。
金利面からみた場合、各国はさらに金利を引き下げて、為替を安くする方策をまだ残しています。
このように、日本は為替を安くするためにもっとも重要な金利を変えることができない中、
アメリカやユーロ圏ではまだ金利を引き下げる余地を残しています。
デフレ脱却に向けて、90年代から数々のデフレ対策を打ち出してきた日本には、
新たに通貨の価値を切り下げる術はほとんどないし、実行しても効果は薄いと思うのです。
その結果が、円の価値が上昇し続けていることに繋がっています。
このような情勢の中、先週より米景気回復が勢いづく材料も出てきています。
たとえば、先週の米雇用統計は市場の期待を上回る結果となりました。
また、昨日発表があった新規失業保険申請件数も良好な結果になりました。
わずかではありますが、景気回復の芽も出てきています。
仮に、景気がこのままのペースで回復し出せば、急激な円安にシフトする事も
十分に考えられます。
景気が回復しているときは、株式や高金利通貨に向かいます。
さらに、将来に対しての楽観的な見通しが深まり、円という低金利通貨を売ろうと
いう局面を増長しやすくなります。
なお、参考程度に付け加えますと、日本に近い状況の通貨ペアはスイスフランです。
政策金利も0.25%で先進国の中では日本やアメリカと並び、低金利な国です。
そして、スイスの場合は日本と同じように長期にわたりデフレに苦しんでいる国
なので、日本と同様手詰まり感がでているように感じます。
下記のチャートを見ても、フランと円は相関性が高いことがわかります。
ドルフラン、ドル円チャートを相関性が高い事を理解させるために表示
景気回復の動きが本格化し出したら、金利が低い円やフランがもっとも売られるやすい通貨に
なる傾向があります。
もう少し先のことになるかもしれませんが、その局面をチャンスに買い出動すると今までの下げすぎ感
からの反動から急反発も狙えるかもしれません。